脳室

【脳室】のうしつ cerebral ventricle

 中枢神経の完成後に神経管の内腔が広くなっているところで,左右の側脳室,第三脳室,第四脳室および脊髄末端の終室がある.

【脳室炎】のうしつえんventriculitis

 細菌性によるものが一般的で,髄膜炎を合併することが多く,脳膿瘍が脳室内に穿破して起こることもある.しばしば中脳水道閉塞をきたし,水頭症を生じやすい.特徴的な臨床症状はないが,発熱,意識障害,ときにはバイタルサインに影響するほどの脊髄液中の電解質異常を伴うことすらある.第三脳室炎では視床下部障害が,第四脳室炎では脳幹障害が生じる.そのほか,出血,手術,薬剤・造影剤などの注入による無菌性脳室炎を生ずることも少なくない332.

【脳室拡大】

のうしつかくだい

ventricular enlargement

《脳室拡張;ventricular distention,ventriculomegaly》

 脳室が,髄液流通障害あるいは脳の萎縮などのために拡張することをいう.健常でも若年者より老人のほうが脳室が大きい.脳室拡大を示す指数として,Evans指数やSchiermann脳室指数があり,前者は0.25以上,後者は3.5以下では拡大が疑われる.脳室系が閉塞されると非交通性水頭症を起こし,閉塞部より上の脳室が拡大する.後頭蓋窩腫瘍や交通性水頭症では側脳室は対称的に拡大するが,天幕上腫瘍などは脳室の変形や側脳室の非対称的拡大を示す.治療は原因疾患の治療のほか,水頭症に対しては脳室腹腔,脳室心房吻合術などが行われる444.

【脳室拡張】

のうしつかくちょう

 =脳室拡大

【脳室間腔】

のうしつかんくう

cavum interventricularis

《cavum veli interpositi》

 脳室の奇形の一つで,側脳室底の正中部にあり,第三脳室の後上方に位置する.後方は四丘槽と交通している.この存在だけでは病的奇形ではない450.

【脳室間孔】

のうしつかんこう

 =室間孔